1.5
反論
反論(Rebuttal)
完璧な状況や主張というのはめったにないんだ。したがってどういうときに今の主張が正当でなくなってしまうのか表明しておく必要があるね。みずから自分に反論をおこなうことによって議論を緻密なものにするんだよ。反論には、根拠への反論、理由づけへの反論、裏付けへの反論、そして主張への反論があるんだよ。
例1:理由づけへの反論
「富山県は住みやすさで日本一である」
「なぜなら、持ち家率の数値が最も高いからだ」
「持ち家率が高いということは住宅が容易に手にはいるということだ」
「持ち家率が高いということは、賃貸住宅の環境が整っていないために無理をして家を建てるケースが多いことを示す。それは逆に住みにくいということを意味する」例2:主張への反論
「就職協定は廃止した方がよい」
「なぜかというと、ほとんどの場合その協定は守られていないからだ」
「守られないルールや違反しても罰則のないルールは、それがあることによって混乱を引き起こす」
「それは一般論としては正しいかもしれないが、日本の就職協定にはあてはまらない。ルールが守られないにしても、ルール破りが表で堂々とおこなわれないという一定の歯止めになっているからだ」
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