5.3 偏相関係数を求める

偏相関のイメージは、わかったかな?

それでは、偏相関係数の計算に移ろう。

偏相関係数は次のような式で計算できる。ここでは、簡単のために、最高気温、最低気温、客数をそれぞれ、a, b, yという記号で表しているよ。そして、それぞれの間の相関係数は、rab, ray,rbyとしているよ。

それじゃ、実際に計算してみよう。

ここでは、Excelでそのまま使えるように、Excelの式の形式を使っているよ。

「*」はかけ算、「/」はわり算、「^2」は2乗、「sqrt」はルート(平方根)だ。

さて、

rab=0.706

ray=0.870

rby=0.302

だったから、上の式に当てはめると、

偏相関係数は

=(0.302-(0.870*0.706))/(sqrt(1-0.870^2)*sqrt(1-0.706^2))

=-0.894

となる。

───あわわわ。待ってください。すごく長い式なので面食らってます。

「確かに長いね。カッコも多い。じっくりゆっくり見てね」

───うんうん、確かに、このExcelの式は上の式に合致しています。落ち着いて式を入れれば大丈夫ですね。あとは、カッコの数を間違えないようにすればOKだわ。

───はい、大丈夫です。偏相関係数は、-0.894です。え? マイナス? 偏相関係数がマイナス?

「そうだ。マイナスになったね。こういうことだ」

───三ヶ島先輩、どういうことですか? 最初の相関係数は、0.302でプラスだったのに、偏相関係数がマイナス0.894になってしまったのは?」

「よし、説明しよう」

偏相関係数の解釈

「すでにいったように偏相関係数は、最高気温の影響を取り除いたときの、最低気温と客数の関係だ。そこで、偏相関係数が-0.894になったということは、もし、最高気温が同じなら、最低気温が低い方が客が多くなるし、最低気温が高いほど客が少なくなる、ということだ」

───うーん、最高気温が同じなら、最低気温が低い方が客が多い?

「そうだ」

───それはどういうことなんでしょうか?

「ここからは推論になるけどね。たとえば、よく晴れた日は、雲がないために夜に気温が下がって最低気温も低くなるだろう。逆に、雨の日や、雲の多い日は、最高気温も上がらないが、最低気温もそれほど下がらない」

───ということは?

「ということは、もし最高気温の影響を取り除くとすると、最低気温が下がった方が晴れていて、その結果、客が増えたのだろう。逆に、最低気温がそれほど下がらなかったときは、雨や曇りの日で、客が少なかったのかも知れないね」

───なるほど、そう考えると、偏相関係数がマイナスになったことの説明がつきそうです。

「あくまでも、これは推測した解釈だよ。ただ、偏相関係数がマイナスであるのは事実だ」

───なんだか、偏相関係数って不思議だわ。

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