偏相関のイメージは、わかったかな?
それでは、偏相関係数の計算に移ろう。
偏相関係数は次のような式で計算できる。ここでは、簡単のために、最高気温、最低気温、客数をそれぞれ、a, b, yという記号で表しているよ。そして、それぞれの間の相関係数は、rab, ray,rbyとしているよ。
それじゃ、実際に計算してみよう。
ここでは、Excelでそのまま使えるように、Excelの式の形式を使っているよ。
「*」はかけ算、「/」はわり算、「^2」は2乗、「sqrt」はルート(平方根)だ。
さて、
rab=0.706
ray=0.870
rby=0.302
だったから、上の式に当てはめると、
偏相関係数は
=(0.302-(0.870*0.706))/(sqrt(1-0.870^2)*sqrt(1-0.706^2))
=-0.894
となる。
───あわわわ。待ってください。すごく長い式なので面食らってます。
「確かに長いね。カッコも多い。じっくりゆっくり見てね」
───うんうん、確かに、このExcelの式は上の式に合致しています。落ち着いて式を入れれば大丈夫ですね。あとは、カッコの数を間違えないようにすればOKだわ。
───はい、大丈夫です。偏相関係数は、-0.894です。え? マイナス? 偏相関係数がマイナス?
「そうだ。マイナスになったね。こういうことだ」
───三ヶ島先輩、どういうことですか? 最初の相関係数は、0.302でプラスだったのに、偏相関係数がマイナス0.894になってしまったのは?」
「よし、説明しよう」
「すでにいったように偏相関係数は、最高気温の影響を取り除いたときの、最低気温と客数の関係だ。そこで、偏相関係数が-0.894になったということは、もし、最高気温が同じなら、最低気温が低い方が客が多くなるし、最低気温が高いほど客が少なくなる、ということだ」
───うーん、最高気温が同じなら、最低気温が低い方が客が多い?
「そうだ」
───それはどういうことなんでしょうか?
「ここからは推論になるけどね。たとえば、よく晴れた日は、雲がないために夜に気温が下がって最低気温も低くなるだろう。逆に、雨の日や、雲の多い日は、最高気温も上がらないが、最低気温もそれほど下がらない」
───ということは?
「ということは、もし最高気温の影響を取り除くとすると、最低気温が下がった方が晴れていて、その結果、客が増えたのだろう。逆に、最低気温がそれほど下がらなかったときは、雨や曇りの日で、客が少なかったのかも知れないね」
───なるほど、そう考えると、偏相関係数がマイナスになったことの説明がつきそうです。
「あくまでも、これは推測した解釈だよ。ただ、偏相関係数がマイナスであるのは事実だ」
───なんだか、偏相関係数って不思議だわ。
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