7.2 2要因の分散分析表

それでは具体的に計算していきましょう。

まず、1要因の分散分析でやったように、各群のデータ数、平均、標準偏差、分散、平方和を計算します。

次のようになります。

ここで、

で求めます。

次に、要因ごとにまとめて、同じように計算します。

つまり、クリスピー条件であれば、B3からC17の範囲の30個のデータについて、データ数、平均、標準偏差、分散、平方和を計算するのです。

そのとき、範囲の指定は、2列にまたがってもできます。下の図を参照してください。

また、辛口条件であれば、B列とD列の2列のデータを範囲としますが、そのとき、範囲の指定は、1列ごとにコンマ「,」で区切ることで指定できます。下の図を参照してください。

最後に、全部のデータについても同じように計算します。

最終的に上の図のように計算されればOKです。

要因1によるズレを計算する

全体のズレ = 要因1によるズレ + 要因2によるズレ + 交互作用によるズレ + 残りのズレ(残差)

まず、要因1(食感)によるズレを計算します。

【以下の数値は適当に丸めてありますが、実際の計算では最大精度で計算してください】

クリスピーの平均(75.33)と全体の平均(74.42)の差の2乗を計算し、それをデータ個数倍します。普通の衣の平均(73.50)と全体の平均(74.42)の差の2乗を計算し、それをデータ個数倍します。そしてこの2つを足して、要因1によるズレとします。

要因1によるズレ=(75.33-74.42)^2×30 + (73.50-74.42)^2×30

        =50.42

要因2によるズレを計算する

全体のズレ = 要因1によるズレ + 要因2によるズレ + 交互作用によるズレ + 残りのズレ(残差)

次に、要因2(味付け)によるズレを計算します。

辛口の平均(76.17)と全体の平均(74.42)の差の2乗を計算し、それをデータ個数倍します。普通味の平均(72.67)と全体の平均(74.42)の差の2乗を計算し、それをデータ個数倍します。そしてこの2つを足して、要因2によるズレとします。

要因2によるズレ=(76.17-74.42)^2×30 + (72.67-74.42)^2×30

        =183.75

交互作用によるズレを計算する

全体のズレ = 要因1によるズレ + 要因2によるズレ + 交互作用によるズレ + 残りのズレ(残差)

次は、交互作用によるズレです。

これは、要因1と要因2によってできる、全部の群における平均と全体の平均とのズレを計算し、そこから、要因1によるズレと要因2によるズレを引きます。

つまり、

交互作用によるズレ = 各群の平均のズレ − 要因1によるズレ − 要因2よるズレ

ということです。

そこで、まず各群の平均のズレを計算します。各群の平均と全体の平均とのズレを計算し、データの個数倍して、足していきます。

各群の平均のズレ =(79.67-74.42)^2×15 + (71.00-74.42)^2×15 + (72.67-74.42)^2×15 + (74.33-74.42)^2×15

          =413.44+175.10+45.94+0.10

          =634.58

交互作用によるズレを計算します。

交互作用によるズレ = 各群の平均のズレ − 要因1によるズレ − 要因2よるズレ

          =634.58−50.42−183.75

          =400.42

残りのズレ(残差)を計算する

全体のズレ = 要因1によるズレ + 要因2によるズレ + 交互作用によるズレ + 残りのズレ(残差)

最後に、残りのズレ(残差)を計算します。

これはすでに計算してある群内の平方和を足したものです。

残りのズレ(残差)=873.33+760.00+843.33+893.33

         =3370.00

いかがでしょうか。下のExcelシートをダウンロードして、確認してください。

ズレを計算したExcelシートをダウンロードする

分散分析表を作る

以上の数値を元に、分散分析表を作ります。

まず、計算したズレを平方和の列に入れます。

要因
平方和
自由度
平均平方
F
要因1
  50.42
 
 
 
要因2
  183.75
 
 
 
交互作用
  400.42
 
 
 
残差
3370.00
全体
4004.58

次に、自由度を入れます。

要因1、要因2の自由度は、それぞれの中の条件数(群の数)から1を引いたものになります。たとえば、要因1はクリスピーと普通の衣の2条件なので、2−1=1です。

交互作用の自由度は、それぞれの要因の自由度をかけ算したものになります。

残差の自由度は、全体の自由度から、要因1、要因2、交互作用の自由度を引いたものになります。

全体の自由度は、全データ数から1を引いたものになります。ここではデータ数が60なので 60−1=59になります。

要因
平方和
自由度
平均平方
F
要因1
  50.42
1
 
 
要因2
  183.75
1
 
 
交互作用
  400.42
1
 
 
残差
3370.00
56
全体
4004.58
59

次に、平均平方を計算します。平均平方は平方和を自由度でわり算したものです。

要因
平方和
自由度
平均平方
F
要因1
  50.42
1
50.42
 
要因2
  183.75
1
183.75
 
交互作用
  400.42
1
400.42
 
残差
3370.00
56
60.18
全体
4004.58
59

 

最後に、Fを計算します。

要因1、要因2、交互作用の平均平方をそれぞれ、残差の平均平方で割ったものがFになります。

要因
平方和
自由度
平均平方
F
要因1
  50.42
1
50.42
0.84
要因2
  183.75
1
183.75
3.05
交互作用
  400.42
1
400.42
6.65
残差
3370.00
56
60.18
全体
4004.58
59

これで分散分析表が完成しました。

有意差を見る

分散分析表のFの値を見て、それが棄却域にはいるかどうかを判定します。

要因1では、群内の自由度が56(近いところで60)、群間の自由度が1になります。

下のF分布表を見ると、5%有意水準で、F=4.00、1%有意水準で、F=7.08、となりますので、要因1のF=0.84 というのは、いずれの棄却域にも入りません。

したがって、「食感の要因による点数の差はない」と結論できます。

同じように、要因2についても検討してください。

さらに、交互作用についても検討してください。

5%有意水準のF分布表
群内の自由度
群間の自由度
1
2
3
4
5
10
4.96
4.10
3.71
3.48
3.33
20
4.35
3.49
3.10
2.87
2.71
30
4.17
3.32
2.92
2.69
2.53
40
4.08
3.23
2.84
2.61
2.45
50
4.03
3.18
2.79
2.56
2.40
60
4.00
3.15
2.76
2.53
2.37
70
3.98
3.13
2.74
2.50
2.35
80
3.96
3.11
2.72
2.49
2.33
90
3.95
3.10
2.71
2.47
2.32
100
3.94
3.09
2.70
2.46
2.31
200
3.89
3.04
2.65
2.42
2.26
300
3.87
3.03
2.63
2.40
2.24

1%有意水準のF分布表
群内の自由度
群間の自由度
1
2
3
4
5
10
10.04
7.56
6.55
5.99
5.64
20
8.10
5.85
4.94
4.43
4.10
30
7.56
5.39
4.51
4.02
3.70
40
7.31
5.18
4.31
3.83
3.51
50
7.17
5.06
4.20
3.72
3.41
60
7.08
4.98
4.13
3.65
3.34
70
7.01
4.92
4.07
3.60
3.29
80
6.96
4.88
4.04
3.56
3.26
90
6.93
4.85
4.01
3.53
3.23
100
6.90
4.82
3.98
3.51
3.21
200
6.76
4.71
3.88
3.41
3.11
300
6.72
4.68
3.85
3.38
3.08