それでは具体的に計算していきましょう。
まず、1要因の分散分析でやったように、各群のデータ数、平均、標準偏差、分散、平方和を計算します。
次のようになります。
ここで、
で求めます。
次に、要因ごとにまとめて、同じように計算します。
つまり、クリスピー条件であれば、B3からC17の範囲の30個のデータについて、データ数、平均、標準偏差、分散、平方和を計算するのです。
そのとき、範囲の指定は、2列にまたがってもできます。下の図を参照してください。
また、辛口条件であれば、B列とD列の2列のデータを範囲としますが、そのとき、範囲の指定は、1列ごとにコンマ「,」で区切ることで指定できます。下の図を参照してください。
最後に、全部のデータについても同じように計算します。
最終的に上の図のように計算されればOKです。
全体のズレ = 要因1によるズレ + 要因2によるズレ + 交互作用によるズレ + 残りのズレ(残差)
まず、要因1(食感)によるズレを計算します。
【以下の数値は適当に丸めてありますが、実際の計算では最大精度で計算してください】
クリスピーの平均(75.33)と全体の平均(74.42)の差の2乗を計算し、それをデータ個数倍します。普通の衣の平均(73.50)と全体の平均(74.42)の差の2乗を計算し、それをデータ個数倍します。そしてこの2つを足して、要因1によるズレとします。
要因1によるズレ=(75.33-74.42)^2×30 + (73.50-74.42)^2×30
=50.42
全体のズレ = 要因1によるズレ + 要因2によるズレ + 交互作用によるズレ + 残りのズレ(残差)
次に、要因2(味付け)によるズレを計算します。
辛口の平均(76.17)と全体の平均(74.42)の差の2乗を計算し、それをデータ個数倍します。普通味の平均(72.67)と全体の平均(74.42)の差の2乗を計算し、それをデータ個数倍します。そしてこの2つを足して、要因2によるズレとします。
要因2によるズレ=(76.17-74.42)^2×30 + (72.67-74.42)^2×30
=183.75
全体のズレ = 要因1によるズレ + 要因2によるズレ + 交互作用によるズレ + 残りのズレ(残差)
次は、交互作用によるズレです。
これは、要因1と要因2によってできる、全部の群における平均と全体の平均とのズレを計算し、そこから、要因1によるズレと要因2によるズレを引きます。
つまり、
交互作用によるズレ = 各群の平均のズレ − 要因1によるズレ − 要因2よるズレ
ということです。
そこで、まず各群の平均のズレを計算します。各群の平均と全体の平均とのズレを計算し、データの個数倍して、足していきます。
各群の平均のズレ =(79.67-74.42)^2×15 + (71.00-74.42)^2×15 + (72.67-74.42)^2×15 + (74.33-74.42)^2×15
=413.44+175.10+45.94+0.10
=634.58
交互作用によるズレを計算します。
交互作用によるズレ = 各群の平均のズレ − 要因1によるズレ − 要因2よるズレ
=634.58−50.42−183.75
=400.42
全体のズレ = 要因1によるズレ + 要因2によるズレ + 交互作用によるズレ + 残りのズレ(残差)
最後に、残りのズレ(残差)を計算します。
これはすでに計算してある群内の平方和を足したものです。
残りのズレ(残差)=873.33+760.00+843.33+893.33
=3370.00
いかがでしょうか。下のExcelシートをダウンロードして、確認してください。
以上の数値を元に、分散分析表を作ります。
まず、計算したズレを平方和の列に入れます。
要因 |
|
|
|
|
要因1 |
50.42 |
|
|
|
要因2 |
183.75 |
|
|
|
交互作用 |
400.42 |
|
|
|
残差 |
3370.00 |
|||
全体 |
4004.58 |
次に、自由度を入れます。
要因1、要因2の自由度は、それぞれの中の条件数(群の数)から1を引いたものになります。たとえば、要因1はクリスピーと普通の衣の2条件なので、2−1=1です。
交互作用の自由度は、それぞれの要因の自由度をかけ算したものになります。
残差の自由度は、全体の自由度から、要因1、要因2、交互作用の自由度を引いたものになります。
全体の自由度は、全データ数から1を引いたものになります。ここではデータ数が60なので 60−1=59になります。
要因 |
|
|
|
|
要因1 |
50.42 |
1 |
|
|
要因2 |
183.75 |
1 |
|
|
交互作用 |
400.42 |
1 |
|
|
残差 |
3370.00 |
56 |
||
全体 |
4004.58 |
59 |
次に、平均平方を計算します。平均平方は平方和を自由度でわり算したものです。
要因 |
|
|
|
|
要因1 |
50.42 |
1 |
50.42 |
|
要因2 |
183.75 |
1 |
183.75 |
|
交互作用 |
400.42 |
1 |
400.42 |
|
残差 |
3370.00 |
56 |
60.18 |
|
全体 |
4004.58 |
59 |
最後に、Fを計算します。
要因1、要因2、交互作用の平均平方をそれぞれ、残差の平均平方で割ったものがFになります。
要因 |
|
|
|
|
要因1 |
50.42 |
1 |
50.42 |
0.84 |
要因2 |
183.75 |
1 |
183.75 |
3.05 |
交互作用 |
400.42 |
1 |
400.42 |
6.65 |
残差 |
3370.00 |
56 |
60.18 |
|
全体 |
4004.58 |
59 |
これで分散分析表が完成しました。
分散分析表のFの値を見て、それが棄却域にはいるかどうかを判定します。
要因1では、群内の自由度が56(近いところで60)、群間の自由度が1になります。
下のF分布表を見ると、5%有意水準で、F=4.00、1%有意水準で、F=7.08、となりますので、要因1のF=0.84 というのは、いずれの棄却域にも入りません。
したがって、「食感の要因による点数の差はない」と結論できます。
同じように、要因2についても検討してください。
さらに、交互作用についても検討してください。
5%有意水準のF分布表
|
|
||||
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
|
10 |
4.96 |
4.10 |
3.71 |
3.48 |
3.33 |
20 |
4.35 |
3.49 |
3.10 |
2.87 |
2.71 |
30 |
4.17 |
3.32 |
2.92 |
2.69 |
2.53 |
40 |
4.08 |
3.23 |
2.84 |
2.61 |
2.45 |
50 |
4.03 |
3.18 |
2.79 |
2.56 |
2.40 |
60 |
4.00 |
3.15 |
2.76 |
2.53 |
2.37 |
70 |
3.98 |
3.13 |
2.74 |
2.50 |
2.35 |
80 |
3.96 |
3.11 |
2.72 |
2.49 |
2.33 |
90 |
3.95 |
3.10 |
2.71 |
2.47 |
2.32 |
100 |
3.94 |
3.09 |
2.70 |
2.46 |
2.31 |
200 |
3.89 |
3.04 |
2.65 |
2.42 |
2.26 |
300 |
3.87 |
3.03 |
2.63 |
2.40 |
2.24 |
1%有意水準のF分布表
|
|
||||
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
|
10 |
10.04 |
7.56 |
6.55 |
5.99 |
5.64 |
20 |
8.10 |
5.85 |
4.94 |
4.43 |
4.10 |
30 |
7.56 |
5.39 |
4.51 |
4.02 |
3.70 |
40 |
7.31 |
5.18 |
4.31 |
3.83 |
3.51 |
50 |
7.17 |
5.06 |
4.20 |
3.72 |
3.41 |
60 |
7.08 |
4.98 |
4.13 |
3.65 |
3.34 |
70 |
7.01 |
4.92 |
4.07 |
3.60 |
3.29 |
80 |
6.96 |
4.88 |
4.04 |
3.56 |
3.26 |
90 |
6.93 |
4.85 |
4.01 |
3.53 |
3.23 |
100 |
6.90 |
4.82 |
3.98 |
3.51 |
3.21 |
200 |
6.76 |
4.71 |
3.88 |
3.41 |
3.11 |
300 |
6.72 |
4.68 |
3.85 |
3.38 |
3.08 |