「予測値は計算できたね。そうしたら、実際の値と予測値の散布図を描いてみよう」
───はい、三ヶ島先輩。こうなります。
───強い正の相関ですね。予測値がそうとう正確であることが読みとれます。実測値と予測値の相関係数を計算すれば、その正確さがわかると思います。
「そのとおりだ、アイ子ちゃん。ここから実測値と予測値の相関係数を計算してもいいけれども、もっと簡単な方法があるんだ」
実測値と重回帰モデルによる予測値の相関係数を「重相関係数」と呼ぶんだ。
重相関係数は次のような式で求められるよ。つまり、3組の相関係数がわかっていれば、この式で重相関係数が求められるわけだ。
では実際に重相関係数を求めてみよう。
→重相関係数の計算を確認しよう(Excelによる式も載せています)
───重相関係数は、0.976 になったわ。とても強い相関だ。ということは、予測値と実測値が非常に近いということになるわね。
そうだね。
じゃあ、最後にまとめておこう。
最初に偏回帰係数というものを学んだね。
そして、2つ(以上)の変数から1つの変数を予測する方法として、重回帰モデルを学んだ。
これがその一例だ。
客数の予測値 = 定数m + 定数p×最高気温 + 定数q×最低気温
このとき、定数p, q, mは、
定数p = 客数と最高気温の偏回帰係数
定数q = 客数と最低気温の偏回帰係数
定数m = 客数の平均 − p×最高気温の平均 − q×最低気温の平均
として求められる。
そして、最後に、実測値と重回帰モデルによる予測値の相関係数を重相関係数と呼び、次の式で求められることを学んだ。
これで、偏相関から始まった重回帰モデルまでの旅はおしまいだ。
前にも言ったけど、重回帰モデルは説明のための変数が2つ以上の場合もある。しかし、考え方は、今説明した2つの変数の場合を拡張したものだ。
───ありがとうございました。三ヶ島先輩!
(C) 2003 KogoLab