9.2 因子得点

「単純構造になることは、まれなので、アイスクリームの好みについての素点をそのまま平均したものは使えないということになる。まあ、だいたいの検討をつけるにはいいかもしれないけどね」

───それじゃ、どうしたらいいんでしょうか、三ヶ島先輩。

「因子分析の結果から、因子得点というものが計算できるんだ。素点の代わりにこれが使えるんだよ」

───因子得点ですか? 説明お願いします!

因子得点

因子得点というのは、それぞれのケース(被験者)について、その回答パターンによって、それぞれの因子に対してどれくらいの重みを持っているかを計算したものだよ。

因子得点を計算する前に、因子得点係数というものを計算する必要がある。

因子得点係数というのは、次のようなものだ。

たとえば、Aさんというケースで、因子2(ミントの因子)の因子得点を求めるには、

回答データを変数ごとに標準化したものと因子得点係数をかけ算して、それを合計することによって出る。

───確かに因子2の係数を見てみると、ミントで-0.70703、チョコミントで-0.28604、となっていて、他の種類よりも値が(負の方向に)大きくなっていますね。ということは、ミントやチョコミントの回答で好きと答えると、因子2の因子得点が(負の方向に)大きくなるということですね。

うん、そういうことだね。

───でも、因子得点係数と元のデータをかけ算していくのは、結構大変な作業ですね。

そうだね。でも因子分析の計算ソフトはそこまで計算してくれるよ。

これを見てごらん。

───うわ、すごい。80人分の因子得点が出ていますね! これで男女の比較ができます。

さあ、次は通過テストです。

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