5.2 対応があるとは?

それぞれの人が、ワクワクバーガーとモグモグバーガーの両方を食べて味を評価したときに、その間に意味のある差(有意差)があるかどうかを決める方法を考えていきましょう。

仮説検定の考え方を思い出しましょう。次のようなステップでした。

前の章のt検定とどこが違うのか?

今回もt検定を使います。

しかし、前の章でやったt検定と少しだけ違います(より簡単になっています!)。

前のt検定では、「2つの独立した母集団から標本を選んでくる」という条件でした。つまり、これが、「それぞれの女子高生に1種類のハンバーガーを食べてもらう」ということに当たります。詳しく言うと、「ワクワクバーガーを食べた女子高生の点数の母集団と、モグモグバーガーを食べた女子高生の点数の母集団が独立している」と考えているわけです。

それに対して、今回のt検定では、「1つの母集団から標本を選んでくる」という条件になっています。1つの母集団とは、何でしょうか? それは、「ワクワクバーガーとモグモグバーガーを食べた女子高生がつけた点数の差の母集団」ということです。つまり、ワクワクとモグモグを食べた女子高生がそれぞれに点数を付けて、その差を計算したもの、それを母集団とするということです。

これらの2つのt検定を区別します。

前のt検定を、「対応のないt検定」と呼びます。あるいは、単に「t検定」とも呼びます。

今回のt検定を、「対応のあるt検定」と呼びます。

「対応」の意味

「対応」というのは、次のような意味だと考えてください。

前のt検定では、ワクワクを食べた女子高生Aさんの点数から、モグモグを食べた別の女子高生Bさんの点数を引くことに意味があるでしょうか。ありませんね。だって、別の人ですから、直接比較できないですね。これを「対応がない」と表現しています。

しかし、今回のように、同じ女子高生Aさんが、ワクワクとモグモグを食べていれば、その点数の差を出すことには意味があります。なぜなら、同じ人が食べたのですから、直接比較できるはずです。これを「対応がある」と表現しています。

それが「対応」ということの意味です。

さあ、それでは「対応のあるt検定」をやっていきましょう。