「以前、客数を最高気温によって予測しようとしたときに、怪奇……じゃない、回帰直線を使ったよね」
───そうです。回帰直線を使いました。
→回帰直線について思い出そう(4章3節)
「偏相関についても同じように、回帰直線みたいなものが引けるんじゃないの?」
───なるほど。店長、それはいいアイデアかもしれません。でも、どうやるのかな?
「どうしました? 店長、アイ子ちゃん」
───あ、三ヶ島先輩。偏相関についてはなんとかわかったのですが、それを客数を予測するためにどうやって使えばいいのかが、わからないのです。偏相関についても、回帰直線みたいなものが引けるのでしょうか?
「おお、いいところを突いているね。説明するよ」
偏相関についても回帰直線は引ける。
たとえば、最高気温の影響を取り除いた、最低気温の残差と客数の残差の散布図は次のようになった。
だから、この散布図に対して、回帰直線を求めればいいわけだ。
だけど、いちいち残差から回帰直線を計算しなくても、次の式で回帰直線の傾きを求めることができる。これを「偏回帰係数」と呼ぶ。つまり、偏回帰直線の傾きということだ。
では、実際に偏回帰係数を計算してみよう。
→Excelでの計算(式もあります)
───偏回帰係数は、-16.703 ですね。傾きはマイナスなので、右下がりの直線になります。
「そのようだ。よさそうだね」
───三ヶ島先輩。でも、y切片を出さなくていいんですか?
「うん、いいんだ。なぜなら、残差は平均0になっているので、y切片は常に0だからなんだ」
残差の散布図に回帰直線を引いてみるとこんな具合になる。
ここで、縦軸、横軸ともに平均は0で揃っているけれども、標準偏差はそれぞれにばらばらだ。そこで、それを標準偏差1で揃えてみる。
→標準偏差1で揃えることのイメージを思い出そう(2章4節)
このときの偏回帰係数を「標準偏回帰係数」と呼ぶ。
標準偏回帰係数の求め方は、偏回帰係数の式の前半部分だけになる。次の通りだ。
「標準偏回帰係数を求めてみると、いくらになるかな?」
───えーと、-0.623になります。
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