「アイ子ちゃん、どう? 結果は出た?」
───あ、店長。はい、出ました。アンケートの数が膨大なので、20個の標本を抜き出したんです。
「ええ? 20個だけでわかるの?」
───推定はできるんですよ。
「まあ、いいや。それで、年齢と1ヶ月あたりの来店回数は関係があるのか、ないのか、どっちなんだい?」
───はい、相関係数は0.267でした。
「おっ! ということは関係があるということだな」
───いえ、そうとは言えないんです。
「なに? どうしてだ?」
───うーん、店長にわかってもらえるかどうかわかりませんが、説明します。
「なぬ。店長をばかにするでないぞ。どんと来い」
───はい。それでは説明させていただきます……
まず最初に、この結果を統計学のコトバで正確に説明してみよう。
「ア゛イ゛子ちゃーん、なにそれ? 日本語? ごめんちゃい、ぼくにもわかるようなコトバで説明しておくれよ〜」
それでは次に、店長もわかるように普通のコトバで説明してみよう。
───店長、つまりですね。この相関係数の値は、もともとのアンケート全体で相関係数ゼロであったとしても、十分起こりうるんです。だから、0.267という数字だけにとらわれても意味がないということなんです。もちろん、標本をもっと取ればわかりませんが、この20の標本からいえることは、そういうことです。
「ア゛イ゛子ちゃーん、ありがとー、店長にもよくわかったよ〜」
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